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【実経験】新卒就活で出版社に入るメリット、デメリットを5つずつまとめます

既にいくつかの記事にも書いている通り、僕は新卒で出版社に入りました

実際、人間関係なども含めて「入ってよかったな」と思っていることのほうが圧倒的に多いのですが、もちろんそうでないこともありまして。

 

出版社に入ってよかったこと悪かったことをまとめてみようと思います。

なお、僕の経歴についてはプロフィールをどうぞ。

出版社に入ってよかったこと5点

合いたい人に仕事で会いに行ける

出版社には会社の規模以上に知名度があることが多く、社会的な信用は比較的高いといえます。

芸能事務所やメーカーなどに対しても、その信頼度はばっちり発揮され、「〇〇社の者ですが」と会社名を名乗れば企画を門前払いされることがなくなるのです。

 

たとえばあなたが大好きなアイドルがいたとして……学生時代だと、そのアイドルのライブに行くのが精一杯ですよね。でもあなたが出版社の社員なら、仕事と称して1対1で会いに行くことだってできるわけですよ。

実際僕にはそんな機会があったんですが、鼻の下伸ばしっぱなしでしたw

 

会社や編集部の名前があるだけで、企画の中身を見てもらえる、興味を示してもらえる。社会的信用こそ、出版社にとって最大の武器と言えます。

 

自分がやりたいことを企画できる

「これを本にしたら100%売れます」なんて企画は基本的にありません。

売れる企画なんてハナから分からないんですから、企画が通るかの一番のポイントは「パッと見て面白そうかどうか」にかかってきます。

つまり、あなたがやりたいことを会社(上司)に「面白そう」と思ってもらえれば、それをそっくりそのまま仕事にできるわけです。

「面白さ」を決定づける要素は、企画の中身だけでなく、キャッチコピーや見せ方など、色々なものがあるので、「面白そう」な企画を立てるのはむちゃむちゃ難しいんですが、その生みの苦しみを乗り越えるだけのやりがいがあります。

 

作ってみたいコンテンツがあるのなら、どうにかしてそれを面白く見せる方法を考えましょう。そうすれば、あなたがやりたいことを会社のお金でそれをやらせてもらえるんです。

どうです、夢があるでしょう?

 

作文技術と編集の基礎力が身につく

編集をしていると、著者やライターさんの文章を直す機会が頻繁にあります。

締め切りまで時間がないケースでは、記事の文章を編集者が自分で書いちゃうなんてこともザラです。

仕事上、言葉に触れる機会がとにかく多いですから、どんなに日本語が下手な人であっても作文技術は向上していきます。スキルを身につけるという点ではうってつけの職場です。

ただ、あまりに日本語力や作文力が拙い、出版社に入るのが難しくなってしまうので、最低限の対策はしておきたいところ。というわけで、もしあなたが出版社に入りたいけれど日本語力に不安があるというのなら、下のような本がおすすめです。

僕は入社後に読みましたが、日本語を体系的に勉強したことのない人にとっては目からうろこの内容だと思います。

「中学生から」とタイトルにありますが、実際のところ中学生じゃ難しくて読めない内容です。大学生が読んで、ちょうどいいレベルでしょう。

出版社の入社試験では難しめの作文があることが多いので、就活で出版社を受けるなら読んでおくべきですよ。

 

また紙の編集は、WEBと違って文字数などの制約が多いです。そのため求められる編集力も高くなり、実力を磨くことができます。僕も最初はかなり辛かったですが、スキルを叩き込んでもらえたという意味では、会社にとても感謝しています。

 

個人の裁量がとにかく大きい

編集業において、個人の裁量はかなりデカいです。仕事上では、デザインの確認や校了前のチェック、記事の進行具合など編集長と“ホウレンソウ”しなければならないことは多々ありますが、記事そのものをどう作っていくかは編集者個人にゆだねられています。

 

なので、編集になれば割と好き勝手出来ちゃいます。とはいっても、裁量が多いぶんなにからなにまで自分で決めていかなければいけないですから、自由という名の不自由で、大変なことも多いですけどね。

でも僕は一度この仕事を経験したがために、「誰かの指示で動く」ことをとてもバカバカしく感じるようになりました。

そのほうが、責任も持てるし、なにせ楽しいですからね。

 

個性的で面白い人が多い

僕が入った会社は、出版社のなかでは比較的マジメな会社。

それでも編集は個性的で面白い人たちばかりでした。

編集の人たちは個人営業色が強く、皆が何かしら得意なジャンルを持っていて、各々それを極めていますその異様さと面白さは、ほかの業種だとほぼ味わえないんじゃないですかね。

変人もむっちゃ多いですが、毎日驚きと笑いが絶えない職場ですよ。

 

出版社に入って悪かったこと

と、ここまで書いてきたように、出版社に勤めるメリットは数多くあります。

ただ、これから出版社を目指したいという方には、悪い側面も知っておいてほしいです。入社後に気付いて、ギャップが大きいと苦しみますからね。

というわけで、以降では出版社の困ったところを包み隠さず書いていきます。

どの出版社も経営が苦しい

断言しますが、出版は斜陽産業です。

業界全体でどれくらいやばいかっていうと、出版が最盛期の1996年には2.6兆ほどあった市場規模が2016年では1.5兆円以下に縮小。

売上が3分の2以下になるわけですから、利益がどれくらい減っているかは、想像を絶するものがあるでしょう。

 

なお電子書籍の市場は年25%くらいの幅で成長を続けているとはいえ、いまだ2000億に届かず。しかも最近では某海賊版サイトの影響で、電子書籍の売上をけん引してきた電子コミックは売り上げが低迷しています。

おまけに、出版業界のガラパゴスな商慣行(いわゆる再販売価格維持制度・委託販売制度というやつです)もあいまって、どの会社も”自転車操業”を余儀なくされています。

出版界の現状については全国出版協会のサイトが詳しいので興味のある方はどうぞ。

 

仕事の物量がどうしても多い

出版業界が抱える大きな問題として、出版点数は減っていないにもかかわらず、売上は落ちている……ということがあります。

分かりやすく数字の例を出すと、

以前では、10点の本を作れば1億円売上られていたのが、

現在では、20点作っても1億円の売り上げが作れない……

なんて状況です。

会社によってこの数字はまちまちなのでこれはあくまで例ですが、どこの会社でもほぼ同じ状況でしょう。ベストセラーがなかなか出ないので、売上額をキープするには作る本の数を増やさざるを得ないんですね。それでもキープできてないんですけれど。

そして、作る本の数を増やすわけですから、編集者1人あたりにかかってくる仕事量も増えていきます

働けど働けど利益は増えない。それでも仕事は減らせない。

企画を考える時間がなかなかなく、企画の質も徐々に下がっていく。

出版業界の負のスパイラルです。

 

IT関係にとにかく弱い

出版社は、ITに弱い会社がほとんどです。

僕がいた会社では、32bitのPCでAdobe Creative Cloudを動かすという苦行を強いられていました。

OSはWin7なのですが、社内インフラが64bitに対応しておらずわざわざ32bitにダウングレードしているんだそうで。。。。

PCの動作が重くなりすぎて、起動とメール受信までに20分かかった日もありました。

 

64bit環境にしてほしいといっても、上司への説明は、64bitと32bitの違いからスタートします。「メモリの可読域が違う」なんて説明しても、おじちゃんたちにはチンプンカンプンです。

これはさすがにもう、時代遅れなんてレベルじゃないですね……。

 

裁量労働制だと、仕事量と給与面の不公平がある

多くの出版社では「裁量労働制」なる魔のシステムが導入されています。

いま「働き方改革」とやらで話題になっているあの「裁量労働制」です。

 

裁量労働制が導入されている会社では、どれだけ仕事をしても残業代は出ない代わりに、仕事量が少なくても給与は一定……ということになっています。

ちなみに、法律上では、裁量労働制を導入した場合仕事の進め方などを個々人に対して指定してはいけないと決まっています。出社時間や退社時間の指示もNGです。法律上はね。まあ、守られないですw

 

また、このシステムを導入するのであれば、個人の仕事量を均衡させるようにしなければならないはずなのですが……

編集部により、楽な編集部とそうでない編集部が存在します。

なので、「同じ給料なのに仕事の時間が倍も違う!」なんてひどいケースはザラにあります。

おまけに、上で書いたように編集者の仕事量は全体として多くなる傾向にあります。

仕事量と給与面での納得感は低いといえるでしょう。あまり言いたくないけれど、やりがい搾取な側面はあります。

 

頑固で職人気質な人が多い

「個性的で面白い人が多い」と、メリットの欄に書きましたが、実はこれ、諸刃の剣。

僕の経験では、面白い人って、だいたい頑固で職人気質なんですよ。

よくわからないことにこだわる人もいて「え? なんでそんなことに時間使うの?」などと思わされることもしばしばです。おまけにそんなひとが上司だったらそれに振り回されることになります。

なお、僕の場合は、そのこだわりポイントを体系的に説明してもらえることはあまりなかったです。社内でうまく世渡りするには、「上司の好みを感覚的に判断できるようになる」という、まあ、いかにも旧い日本的な能力が求められます。

人によっては、かなり息苦しく感じるかもしれません。

 

以上、僕が体感した出版業界について、いいことも悪いことも赤裸々に書いてみました。

魅力も、欠点も、率直に伝わっていれば幸いです。