なにがなんでも編集の仕事がしたかった僕は、就職浪人まで経験しています。
他業界で内定をもらっていた会社はあったのですが、「新卒」で「出版社」に入ることにこだわっていたんです。
いろいろあっていまは出版社を辞めてしまいましたが、新卒で出版社に入るということは間違った選択でなかったと思っています。
なぜそう思うのか、ここに書いていきます。
目次
新卒で出版社に入るのはめっちゃ大変
新卒で出版社に入るのはとにかく大変です。
採用試験の難易度が高いというだけでなく、いわゆる出版不況によって採用人数は少なくなっています。
どれくらい少ないかっていうと業界最大手でも1桁しか採りません。
そんな状況にありながら、花形な仕事のイメージが強い出版社には、針の穴のごとく狭い枠にたくさんの学生が応募してきます。
倍率で言えば、100分の1なんてものではなく、1000分の1に近いところをくぐりぬけないと内定できないんです。
正直、僕がこれほどの高倍率な試験をクリアできたのは、最低限の素養はあったのでしょうが、それに加えて担当した面接官と相性が良かったなどの運があったんだと思っています。
本当、それくらい大変な世界なのです。
出版編集をしたいなら、新卒から出版社に入るべき3つの理由
とにかく厳しい関門である出版社の採用試験。
それでも、あなたが出版編集を目指すなら新卒ときに出版社に入るのがベストだと僕は断言します。
(営業なら話は違ってきます。今回は編集に限った話です)
「いまはウェブメディアだってあるし、何も出版社でなくても編集経験は積めるし、あとから転職したっていいし……」
そう思う方もいるでしょう。
たしかにその考えは間違っていないのですが、出版編集は途中から入るのが苦しい世界なのです。
出版編集を目指すべきなら新卒で入るべき理由を書きだしていきます。
1.中途採用は経験者限定なことがほとんどだから
残念ながら、出版はかなり内向きな業界です。
外の業界から人が入ってくることが少なく、中途採用は経験者限定というケースがほとんど。
仮に、未経験者歓迎な求人があったとしても非正規で、しかも給料は低い、あるいは業務委託、なんてものばっかりです。
初めから正社員で働きたいというのなら、基本的には新卒しか道はないと思ったほうがよいでしょう。
2.独特な世界で、ウェブ編集などでの経験が通用しにくいから
出版編集は、ウェブなどの他ジャンルの編集と異なる独特な部分がかなりあります。
以前、Twitterで #若い編集者が知らない事をつぶやこうというハッシュタグがトレンドにもなりましたが、専門用語が多かったり知らないとできないことがあったりと、独特な空気感が今なお残っています。
言葉以外でも、ほかにも校正記号なんか出版編集でないと使わないですし、紙ならではのものがたくさんあるのです。
1と2に書いた点は、出版業界がいかに内向きかを示している特徴なので、正直言って業界の悪い点でもあるのですが……
それでも現実として、受け入れておいたほうが良いでしょう。
3.非正規から正社員登用されるのは大変だから。
出版業界では門戸が年々狭まっているため、若い人が減る傾向にあります。
新卒では入れないとなると、非正規で入るしかないのですが、、、
非正規から正社員になるのはかなり厳しいといえます。
実際、非正規であるぶん、入りやすさは格段に違います。
でも、昇進にはかなりの努力が要求されるのです。
有能であれば、正規に登用されるケースもあるにはあるのですが……会社の事情でなかなか正社員にしてもらえない、なんてケースもまたあります。
僕の知り合いには非正規で入ったけれど社内最年少の副編集長になったなんて人もいますが、彼はまさに仕事の虫であり、「THE 編集者」とでも言うべき人間です。
それくらいの人材でなければ、簡単には正社員になれないと思ってください。
とはいえ、新卒でなくとも出版業界に入り込める道があるのは事実です。
相応の覚悟が必要ですが、新卒入社が叶わないのであれば現実的な選択肢かもしれません。
斜陽産業だとか、沈みゆく船だとか言われる出版業界ですが、なんだかんだ、出版にしかできないことがあると僕は考えています。
そんな“出版にしかできないこと”をやる人が、このブログの読者を経て出版業界へ入ってくれれば、僕もとてもうれしく思います。