「いい文章」ってなんだと思いますか?
個性がある、説明がわかりやすい、キャッチーなフックがあるなど、人によって挙げる条件は違うと思います。
物事の良し悪しは、個々人の感じ方次第ですからね。
ここでは「編集者目線」にしぼって、「いい文章」の条件を考えます。
ライターをされている方にはぜひ読んでいただきたい内容です。
目次
編集者的「いい文章」=「修正不要の文章」
早いですが、先に結論を書いてしまいました。
編集者から見た「いい文章」は、ズバリ「修正不要の文章」です。
そのうえで個性があると尚よし。
ただ、「個性にあふれているけれど、修正が多数必要な文章」であると、重宝されることはありません。
第一に「修正不要」、つまり手のかからない文章であることが大事なのです。
編集者は忙しい職業です。
記事内容の企画はもちろん、掲載や取材許可の取得、カメラマンやライター、デザイナーさんのアポイントメント、そしてデザイン依頼、入稿・校了といった作業……
これらすべてをこなさなくてはいけません。
編集者は自分で文章を書く時間がないから、ライターさんに執筆依頼を出しています。
原稿チェックや修正のための手間を、極力かけさせないようにしてあげたいものです。
では、「修正不要な文章」とは、どのようなものなのでしょうか。
編集者から見た、いい文章の5条件
編集者がチェックしているポイント
僕自身、雑誌やWeb媒体などで編集をしていたことがあります。
そのとき、ライターさんから上がってきた原稿に対してチェックしていたのは下記の点でした。
1.文字量は要求通りになっているか
2.誤字脱字はないか
3.表記ルールは守られているか
4.同一企画内のほかのページと調和がとれているか
5.パッと読んでもわかりやすい内容になっているか
なぜこの5つをチェックするのかと言えば、この5つを満たしていれば修正不要な文章=掲載しても最低限は大丈夫な文章、になるからです。
それぞれ、理由をひも解いていこうと思います。
1.文字量は要求通りになっているか
特に紙媒体の場合、文字量は重要です。
Web媒体であれば、文章が長くなってしまっても許容されますが、紙の場合は版面のサイズが決まっていますから最大量で入る文字数に制約があります。
たまに「適宜削っていただいてOKです」といって納品してくるライターさんがいましたが、これは正直かなりイヤでした。
編集にしてみれば、手間が増えるだけです。
要求された文字量に削ってから、納品してあげてくださいね。
もし要求が不明確であれば、こちらから聞いてみましょう。
2.誤字脱字はないか
これは当然のことなのですが……やはり人間ですからミスはどうしても起こってしまうことがあります。
しかし、誤字脱字が多いライターさんに対しては「この人に頼むのは危険」というようなレッテルが張られてしまいます。
そして次第に仕事の依頼もしづらくなって……という流れになってしまいますから、誤字脱字は撲滅するようにしましょう。
「ミスがあっても編集者が直してくれるだろう」という思い込みは捨ててください。
参考:脱・誤植! 雑誌編集者が実践している校正手順7ステップ
3.表記ルールは守られているか
編集経験者ならご存知でしょうが、あらゆるメディアには「表記統一」というものがあります。
たとえば、「今」という言葉を使うときはかならず漢字で書く(ひらがなにしない)、「!」や「?」の後ろには全角アキを入れる、など各メディアごとに決まっているのです。
もしページごとに表記ルールがバラバラになっていたら、読者を混乱させかねないですからね。
読者としては気づきにくいポイントですが、編集者は表記統一にはかなり気を使っています。
依頼を受けたときに表記統一の案内があった場合はもちろん順守、案内がなかったケースでも「表記統一のルールはありますか?」などと聞いておくと、「こいつ使える!」と思ってもらえることでしょう。
4.同一企画内のほかのページと調和がとれているか
僕がかつて担当した企画のひとつに、20店舗ほどの人気飲食店を取材してインタビューを取るという企画がありました。
その際、複数名のライターさんに執筆依頼をしたのですが、人によって上がってくる内容にかなりムラがあったのです。
店主のセリフがほとんどの原稿を構成してくる人、原稿中に「」をほとんど使わず、自分の言葉で書いてくる人……。
担当編集である僕の指示が足りなかったので自分としても反省案件なのですが、これをそのまま掲載してしまうと、読者からしてみれば違和感を生む恐れがあります。
自分のミスであるとはいえ、かなりの赤字を入れる羽目になりました。
メディア全体でテイストを統一することは難しいにしても、企画単位では揃えておきたいもの。
もし、複数のライターで担当する企画を依頼されたら、他の方の文章を前もって読ませてもらうなど、対策をするとよいでしょう。
編集者が手の回らないのところまで配慮できていると、喜ばれることは間違いありません。
5.パッと読んでもわかりやすい内容になっているか
1~4はテクニカルな事柄です。ここではじめて文章の内容に直接触れる話をします。
読者は情報がほしいからこそ記事を読みます。
その記事が、玄人向けにしかわからない内容になっていたらどうでしょうか。
「この記事には求めている情報はないな」と読み飛ばしてしまうことでしょう。
あるいは前置きばかりでなかなか結論が見えていない記事であっても、「なんかよくわからないから、読まなくていいや」となってしまいます。
編集者としては、これらは避けなければならないことです。
ライターさんから上がってきた記事がそんな内容になっていたら、きっと修正を入れることでしょう。
全く前提知識のない読者でも、理解ができる文章になっているか?
先入観を捨てて、納品前の文章をもう一度読んでみましょう。
納期も守ってあげてください!
最後になりますが、納期ももちろん順守しましょう。
「クオリティが高いが、納期は守らない」「クオリティは低いが、納期は守る」という2種類のライターさんが多いのですが、「クオリティも高く、納期も守る」ライターさんがずば抜けて最強。
「二兎追う者一兎も得ず」ともいいますが、この二兎が揃うと、五兎くらいのパワーになります。
両方きちっとできている人は結構少ない印象です。
ライターのあなたがやるべきことは決まっていますから、自分に足りていないものは何か、狙いを定めて追いかけていきましょう。
誰だって、いい文章は書けるんです。