メンタル

「メンヘラ」の気持ちを理解してあげることなんてできない

メンヘラって言葉、僕好きじゃないんですよ。

というのも、この言葉が存在しているがために、精神科に通う患者さんたちが世間からひとまとめにされて見られている感がハンパないからです。

 

精神科という世界を知らなかったかつての僕は、こんなこと気にかけもしませんでした。

でもいざ、自分がストレスで倒れてみると「メンヘラ」という言葉の存在にとてつもない違和感を覚えたのです。

今日は、精神科患者としての僕から見た「メンヘラ」とは何かを語ろうと思います。

 

そもそも、メンヘラってどういう意味?

「メンヘラ」で検索すると、一番上に出てくるのはニコニコ大百科の記事。(2018年1月7日現在)

それによると……

メンヘラとは、2ちゃんねるのメンタルヘルス板にいるような人間のこと。ネットスラング。

またそれが転じて、心に病気を患った人を指す。

(中略)

語源は2ちゃんねるの「メンタルヘルス板」より由来する。メンタルヘルス板とは「心の健康」について取り扱う板。

2ちゃんねらーの間で「メンタルヘルス板にいるような人間」をメンヘラーと略されるようになり、それがメンヘラになった。主に心に病気を抱えた人について使われる言葉として扱われている。

差別的な意味を含む場合もあるため扱いには注意しよう。

 

まとめると

・2ちゃんねるのメンタルヘルス板から発生した言葉で、もとの意味はそこの住人たちのこと。

・心に病気を患った人のことも指すようになり、いまではそれがメインの用法になっている。

・差別的な意味を含む場合がある。

といった感じですね。

 

上の説明は、大方の認識とおそらく大差ないでしょう。

すでに書いた通り、僕がこの言葉に対して感じている最も大きな問題は「差別的な意味を含む」ことではありません。

この言葉の存在により、「心の病を抱えた人」が、いかにも1つの人種であるかのように十把一絡げにされてしまっていることを、僕はとにかく問題視しています。

 

「メンヘラ」な人の気持ちなんて、誰も分からない

ここで僕のもっとも言いたいことを書いてしまいますが、精神科に通っている患者はびっくりするほど千差万別です。

人によって病気が違いますし、同じ病名であっても人によって症状がまるで違います。

 

なので、たとえ同じ病気を抱えている人同士であっても、相手の気持ちをつかむのはかなり難しいんです。

同じ病気の患者なら、なんとなく似ていることはあります。

でも、患者個人の悩みは、人それぞれで全く異なっているのです。

 

「メンヘラ」という言葉がはらむ幻想

僕はかつて倒れる前、「相手の立場に寄り添えば、心を病んだ人の気持ちも分かってあげられる」と思っていました。

そのために、心に病を抱える方を会話において傷つけてしまったことがありました。

しかし当時は、「なぜ相手が傷つくのか」まったく分からなかったのです。

 

実際に自分が不安障害という病気になってから、家族を含む周りの複数の人間が、「僕のことを分かった気になっている」ことに気づきました。

「家で休んでいても治らない。スマホを捨てて無人島にでも行ってこい」という人がいました。すでに僕は、必死になって治そうとしているのに。スマホが原因でなった病なら話は分かるんですけどね。

「病は気から」という人もいました。病気になりたくてなる人なんていないのに。僕は治れ治れと思っています。

なかには「精神科に通ったってなにひとつ治らない」という人もいました。治すために病院に通っているのに。

 

みんな分かった気になっている。でも本当のことは、自分以外の誰にも見えないんです。

患者個人個人にしかわからないことがある

「メンヘラ」という言葉は、たくさんの病気を意味します。

自律神経失調症だって、うつ病だって、躁うつ病だって、パニック障害だって、不安障害だって、統合失調症だって。

全て同じ「メンヘラ」です。

しかも、同じ病気でも人それぞれで症状が違います。

 

これらを、ひとつのものとして、無意識的にであっても考えてしまうのは危険です。

私自身、意味が広くて便利な言葉だなあと思いますし、「メンヘラ」という言葉の存在そのものを否定しません。

でもやはり、精神科に通っている人たちを、ひとまとめにしてしまうのは危険です。

 

個々の患者さん本人にしか分からない悩みがあるのです。

その悩みこそ病の根源であるのですが、それをひもとき、理解することは困難を極めます。

誤った理解により話をしてしまうと、患者さんのことを無駄に傷つけてしまうことになりかねません。

 もしあなたのそばに「メンヘラ」の方がいたら

残念ながら、あなたが「メンヘラ」の方の気持ちを完全に理解することは不可能と思ってください。

むずがゆいでしょうが、なにもいわず、ただ見守ってやるのが「メンヘラ」に対する最大の薬です。

 

患者さんにとっては、病んでいるときに人がそばにいてくれるだけでもうれしいものです。