「転職エージェントってなんでこんなに親切なの?」
転職活動中、そう思ったことはないでしょうか。
僕は、某社のエージェントがあまりに親身すぎたことに恐怖すら覚えました。
目次
親身・親切であることには理由がある、と僕が確信した経緯
徹底した低姿勢、毎日のような確認の電話、応募書類などのチェック、代理での応募手続き、不安点の相談……。
僕が初めて転職活動をしたときにはたてつづけの“おもてなし”に、何か裏がありそうでとても怖く感じました。
とはいえこちらは転職の素人。プロに任せたほうが確実、と思いますよね。
でも、この態度にはやっぱり理由がありました。
僕が“おもてなし”の理由を確信したのは、内定をもらったあとのことだったのですが……
その経緯をまずは書いていきましょう。
「現職に残ることも選択肢としてお考えください」
転職活動を開始した当初、僕のエージェント(30歳くらいの男性)は、何度も強くそう言っていました。
彼らに対する報酬は、僕たち利用者が転職することによって発生します。
ですから、たとえば僕に「内定もらったけど、転職はやっぱりやめます」と言われるのは困るわけです。
手に入るはずのお金が、直前ですり抜けていくわけですから最悪なケースでしょう。
それにもかかわらず、「現職に残ることも選択肢」と言うのです。
だからこそ、僕は「このエージェントは僕のことを親身に考えてくれているな」と思いました。
でも僕が内定を取ったとたん、彼はそんなことをまったく言わなくなったのです。
「ご転職されるにあたってなにかご不安点はございますか?」
内定が出たそのすぐあと、エージェントはこんな口調で何度も僕に聞いてきました。
活動開始当初のあの親身さはどこにいったのでしょうか。
内定が出た瞬間から、「転職すること」がまるで決まっているかのように感じました。
また、今回自分が得たオファーがどれくらい良いものなのか、その素晴らしさ・異例さをやたらと強調されました。
「○○社異例の×××万円でのオファー、おめでとうございます!」
主に金額面のことが多かったですが、↑のような形で、メールでも電話でも繰り返されました。
異例なのかどうかは、ユーザーの視点では測りようがないのに、こんなことを重ねて言ってきます。
この時期になると、彼らは「転職に当たっての不安、障害をとにかく排除する」ように動きます。
転職したほうがどれほど良いか、強調してくるようになります。
僕は、年収交渉までしていたのでなおさらその傾向が強まったように思えます。。
「○○社がこれほどまでにご評価くださることは珍しいので私もびっくりしました!」
こんな感じでポジティブなことしか言わなくなるのです。
「これでもまだ今の会社で仕事すんの?」
そんな感じにバリバリにあおってきます。
と、ここまで書いてしまいましたが、僕が言いたいポイントは、「親切・親身なのは初期に顕著で、内定後は急に背中を押してくる」ということ。
彼らはなぜこれほどまでに豹変するのでしょうか。
結局は…「ユーザーを転職させるため」
上にも書きましたが、転職エージェントの成果は「利用者を転職させる」ことで測られます。
ユーザーと企業のマッチングどうこうよりも、「成約がとれるかどうか」。
エージェントと採用企業間の契約では、転職者がすぐに辞めてしまうと、エージェント側がペナルティを支払う決まりになっていることが多いそうです。
とは言っても、まずは転職を成約しないことには成果は上がらないのが事実。
だから、とにかくまずは成約を確保する方向に走るわけですね。
ちなみに成約の報酬額は、転職者の年収の3割程度のようです。
年収500万の人を転職させれば150万の売上がポン! なかなかいい商売だなあ(笑)
親身・親切であることは、成約にたどり着くための方程式の一部なのです。
初期の親身・親切でユーザーの信頼を獲得する
転職初期の親身・親切は、利用者の信頼を得るためです。
最終的には力押しでも転職させなければいけませんから、信頼を稼げるうちにガツガツ稼いでおこう、ということ。
初めてあった人から良い対応をされれば、「あ、この人はいい人だな」ってなんとなく思いますからね。
また、これも人材業界の方から聞きましたが、エージェントサービスに登録した人のうち、実際に面談までできるケースはかなり少ないとか。
面談に来てくれた“優良ユーザー様”は手放せませんから、なおさら応対がご丁寧になるわけです。
怖い怖い。
稼いだ信頼を一気に使って成約をゲットする
中途採用の内定承諾にあたっては、2日ほどしか時間がありません。
エージェントたちは、この短い期間に大攻勢をかけてきます。
「ご転職されるにあたってなにかご不安点はございますか?」
「○○社異例の×××万円でのオファー、おめでとうございます!」
「○○社がこれほどまでにご評価くださることは珍しいので私もびっくりしました!」
上に書いたこれらのセリフは、すべてこの2日間のうちに飛び出しました。
もう、総攻撃と言ってもいいかもしれません。
「とても親身になってくれた人たちが言うのだから、きっと事実なんだろう」
ユーザーの頭の片隅にそんな考えが浮かんだのなら、彼らの攻勢は成功しているといえるでしょう。
転職エージェントの正体
「エージェントって、ただの営業マンだからね」
人材業界の人から、こんな言葉を聞きました。
いま思えば、本当にその通りだと思います。
営業なんだから、相手にペコペコするのは当たり前。
ユーザーには企業を売る。企業にはユーザーを売る。
エージェント(=仲介者)だなんてパッと見カッコイイ言葉を使っていますが、彼らの正体はバリバリの営業マンです。
ちなみにですが、英語のAgentには、スパイって意味もあるんですよ。
転職エージェントは、さながら2重スパイなのかもしれません。
悪口ばかり書いたけど、転職エージェントは使うべきだと思う
ここまでエージェントの悪口ばっかり書いてしまいました。
でも、転職活動をするなら、エージェントを使うのは正しいことだと僕は思います。
彼らを利用する価値は確実に存在するからです。
転職エージェントの価値は、「営業力」。
エージェントは、転職希望者には転職先候補の企業を売り込んでくると同時に、企業側には「転職希望者のスペック」を売り込んでくれます。
ですから、エージェントを使ったほうが内定を得るのは楽だと僕は感じましたし、年収交渉などでもその営業力は大いに活かされます。
では、どうすればユーザーはエージェントの営業力を使いこなせるのか?
そのための準備方法を別の記事に書いたので、あわせて読んでみてくださいね。